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国家安全法導入によって米ドルペッグが外れるのか? 香港ドルの行く末

国家安全法制導入が決定した香港。

 

アメリカは香港に与えてきた貿易面などの特別優遇措置の廃止手続きを始めました。

 

facebookグループメンバーの中でも

 

香港ドルと米ドルのペッグが外れるかもしれない

 

危機感を持って行動している方もいます。

 

HSBC香港の口座などに眠らせていた香港ドルの一部を米ドルに両替したり、あるいはアメリカの銀行に送金したり、香港ドル建のファンドは解約して米ドル建を買い直し、香港ドルで支払を準備していた保険は予定変更して全額前払いなどをしたという方もおられます。

 

わたしの考えでは、

すぐに香港ドルの米ドルペッグが外れることはないでしょうが、今後香港ドルの価値が下がることはあっても上がることは無いと思うので少しずつ米ドルにシフトしていくのが良い。

と思いますし、facebookグループ内でもそのように書き込んでいます。

 

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今後、香港ドルがどのようになっていくのか、そもそもの歴史を振り返りつつ想像してみたいと思います。

 



香港が米ドルとのペッグを採用した歴史

2000年代初めごろから顕著になった中国の経済成長。

1997年にイギリスから返還された香港は中国国内において上海、北京、そして深センと比較してその経済的重要度は下がっています。

 

米ドルペッグが重要なわけ

ただ、資本主義経済の仕組みや金融面からみると、むしろ香港の重要度と役割は高まり続けています。

 

なぜなら、厳格な資本規制を敷く中国において、香港は米ドルをはじめとする外貨、外国からの資本を受け入れる窓口になっているからです。

 

世界の機軸通貨が米ドルであり続ける以上、外国とのやりとりに米ドルが必要ですから国内の発展のためにも米ドルを調達しないといけません。 (だから一帯一路経済圏の構築を進めて、そこで中国元決済を押し進めたいわけですね = 中国元を米ドル、ユーロとならぶ世界の基軸通貨にしたい)

 

現時点ではまだまだそのレベルまできていませんから、どうしても米ドルが必要です。

 

もし米ドルペッグが外れてしまうと、香港の立ち位置、存在価値が危うくなる。

そうなると米ドルの調達が今ほど容易ではなくなることを意味するので、中国経済にとってもマイナス面が大きいのです。

 

中国人富裕層にも重要な香港

推定1兆米ドル超という香港にある個人資産のうち、半分以上は中国人富裕層が本土から移したものと言われてます。

また、香港で米ドルで運用できる保険など金融商品を購入するなども活発です。

IFAによると、昨年(2019年)以降今までだけを見てもデモや国家安全法の影響はあまりなく、中国人富裕層からの保険契約は契約数・金額ともに増加傾向とのこと。

 

ドルペッグ制度採用の歴史

香港が中国に返還されたのは1997年。

 

米ドルとのペッグ制はその14年以上前の1983年10月17日から採用されています。

 

その前年、当時のイギリス・サャッチャー首相に対し、当時の(実質的な)最高指導者 鄧小平(とうしょうへい)が香港の返還を強く要求。

香港への水の供給ストップや武力行使も辞さない強い姿勢にサッチャー首相が折れた格好となり、その結果、「租借地」であった新界だけでなく永久領土として返還する必要もなかった香港島や九龍半島も返還する約束をしてしまいました。

 

この交渉の過程で香港の未来に対しての展望は揺れ動き、1983年9月24日、1米ドル=9.6香港ドルにまで急落する「ブラック・サタデー(暗黒の土曜日)」が起こるなど為替が乱高下し、街の小売店やレストランでさえ値段を米ドルで表記、米ドルでの支払いを求められるほど香港ドルの価値を見失い、混乱しました。

 

この状況を修めるために、1983年10月17日、香港ドル相場を1米ドル=7.8香港ドルに固定連動させることを発表しました。

これが今に続くドルペッグ制の始まりです。

 

そして、この米ドルとリンクすることで金融市場が発達し、現在の香港の立場を築き上げることになりました。

 

現在は、1米ドル=7.8香港ドルの完全固定ではなく7.75〜7.85香港ドルの間でわずかに変動します。



アメリカの緩和政策の影響を受ける

香港ドルが米ドルに連動するということは、アメリカの景気や金融政策の影響を強く受けるということです。

 

自由貿易港として知られる香港。

お酒やたばこなど一部をのぞいてほとんどすべての品目に関税がかかることなく輸入できます。

 

アメリカは1992年「香港政策法」という法律を作って、「香港は中国本土とは異なる地域である」として定義しました。

これにより、香港は中国でありながら輸出規制に関する事項をはじめ、貿易や関税、渡航ビザなどで中国とは別扱いされるという恩恵を受けてきました。

 

同法は米国の香港に対する基本法で、いわゆる「トランプ関税」も適用されていません。

 

今回、国家安全法の適用でこれらを撤廃すると発表され、一部の富裕層などが香港ドルを米ドルに交換しました。

 

このことにより香港ドル安の懸念が広がりましたが、アメリカが実質2022年まではゼロ金利政策を敷くこともあり、すぐにペッグの上限である1米ドル7.85香港ドルに張り付くようになり、5月下旬以降、二度三度と香港金融管理局は為替介入しています。

 

今後どのような変化が?

国家安全法導入決定以後、香港政府はたびたび 「現行ペッグ制を堅持する」との趣旨の声明を出しています。

 

金融や経済・貿易において、アメリカにとっても中国にとっても香港は「なにかと便利」ではあるのですぐに同行することはないと思います。

 

2047年には一国二制度はなくなり香港は完全に中国政府の管理下におかれることになりますので、香港ドルそのものはなくなると思います。

 

そこに至る過程で香港の自由や民主は「中国化」していくでしょうし、外資企業がそれらをリスクとしてみるなら、香港から拠点を引き揚げるでしょう。

 

また、「国際金融センターとしての役割」を他の中国の都市(例えば 深セン)に作る、為替規制や金融解放が進むと香港が持つ役割を、香港に持たせておく必要はありません。

 

というわけで、一般的な日本人が海外に、もしくは外貨建て資産を構築するのに香港はかなり有効な場所であることは、違いありません。

 

ただし、香港ドルではなく米ドルで資産を構築しておくことが大切で、あくまで香港は世界への窓口であることを意識して活用していくべきと思います。

 

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