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香港ドルは同じ額面でも3種類 3つの銀行が紙幣を発行する香港ドルの行く末

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香港は、同じ金額の香港ドル紙幣でも3つのデザインがあります。

それは、発行銀行が違うから。

 

日本ならお札は中央銀行である日本銀行が発行、管理していますが、香港では民間の3つの銀行がそれぞれ発行しています。

 

その3つとは

  • HSBC(香港上海銀行)
  • 中国銀行(の、香港支店)
  • スタンダード・チャータード銀行

です。

 

香港ドルを手にする機会があれば、ぜひ一度 気をつけて見てみると面白いです!

 

香港のお金発行事情

中国の一部でありながら「香港ドル」という独自通貨を持つ香港。

 

硬貨と10ドル紙幣は香港政府が発行しているものの、それ以上の紙幣は「HSBC」「中国銀行」「スタンダードチャータード銀行」がそれぞれ独自のデザインで発行しています。

 

だから、100香港ドル札(HKD)でも、デザインは3種類。

 

HSBCは獅子(ライオン)をモチーフに、中国銀行とスタチャはそれぞれ自社ビルをモチーフにしたデザインです。

 

香港には日本銀行に当たる中央銀行がないのですが、商業銀行が紙幣を発行しているというのは、ちょっとおもしろいなと思います。

 

日本でいうなら、「みずほ」や「三井住友」「三菱UFJ」が紙幣を発行しているようなものですもんね。

 

香港ドルの種類(金種)

香港ドル紙幣は、1,000HKD、500HKD、100HKD、50HKD、20HKD、10HKDの6種類がありますが、10HKD以外は、それぞれ3銀行が異なるデザインの紙幣を発行しています。

 

お札にも「発行年月日」が書かれているのがちょっとユニーク。

どのお札も「1月1日発行」です。

 

いま、わたしの手元にある香港ドル紙幣は、500ドル札、20ドル札、10ドル札。

20ドル札に比べて500ドル札の大きさが際立ちます。

500ドル札が日本の1万円札と同じくらいの大きさ。

20ドル札は日本の千円札よりも少し小さいです。

 

500ドル札

わたしの手元にある500ドル札は、スタンダードチャータード銀行が発行したもの。

 

裏面にもしっかり「Stabdard Chartered Bnak」と入っています。

 

他の2行が発行するお札も色合いは同じで、デザインが異なります。

 

20ドル札

中国銀行が発行したものとHSBCが発行したものがありました。

 

 

裏面のデザインはこんな感じです。

 

10ドル札

10ドル紙幣は銀行ではなく「香港特別行政区政府」が発行。

「香港法定貨幣」と印字されています。

 

この10ドル札はプラスティック(?)でできていて、破れません。

また、下の赤丸で囲んだ部分は透明になっています。

 

民間の銀行がお札を発行して問題は起きないのか

香港では日本の日銀に当たる中央銀行が存在しません。

これを中央銀行制度に対し「カレンシーボード制度」と言います。

 

参考:カレンシーボード制度とは

カレンシーボード制は、自国の通貨供給量を外貨準備高以下に抑えることで、自国通貨が特定の外貨とほぼ一定のレートで交換できるように担保した通貨制度をいいます。これは、簡単に言えば、国内に流通する自国通貨に見合っただけの特定の外貨(主に米ドル)を通貨発行当局(カレンシーボード)が保有するとした固定相場制で、現在、香港ドルなど一部の国の通貨で採用されています。

一般にカレンシーボード制は、通貨の乱発が防がれ、為替相場の変動を避け、またインフレーションに強い特性を持つというメリットがある一方で、特定の外貨を発行する国(主に米国)の金融政策に自国の金融政策が左右される(制限される)というデメリットがあります。

 

信用の裏付けは?

お金は国家の信用の裏付けがあって発行され、信用されます。

私たち日本も、1万円札をみんなが1万円の価値だと信じているから1万円分のお買い物ができるわけですね。

 

香港は3つの民間銀行がお札を発行していますが、その割合は HSBCが全体の8割、他が1割づつと言われています。

もし仮に中国銀行やスタチャが「うちが発行する100ドル札はHSBCより少ないから希少。だから価値はHSBCの2倍です」なんて言い出したら大変です(笑)

 

政府とは独立した権限を持つ中央銀行が「通貨の番人」として貨幣(お札)の流通を管理するわけですが、カレンシーボード制ではこの番人が存在しません。

 

また、仮に、「うちのお札の流通量を増やしたいから、来年は今年の3倍のお札を刷りますね」などと言い出したら、インフレが進んで大変なことになりそうですね。

 

このようなことが無いように、中央銀行のない香港は米ドルの信用をもとに発行されています。

これがドルペッグ制で、香港は米ドルという通貨(カレンシー)に自国通貨を釘付け(ペッグ)することで貨幣の流通量を管理しているのです。

 

香港ドルは1ドル=7.8香港ドルで米ドルに固定されています。(2005年5月18日から目標相場圏制度が導入されたことにより、1US$=7.75〜7.85HK$間での変動を容認)

 

紙幣の発券を許された3つの銀行は、この固定レートで換算された米ドルを100%以上保有することが義務づけられています。

 

これによって紙幣の流通量に上限が設定されるわけです。

 

カレンシーボード制においては、発券銀行はいつどのような時であろうとも、定められた交換レートで、自らが発券した香港ドルを米ドルに交換しなければなりません。

 

米ドルと香港ドルの関係

香港ドルが米ドルにペッグされている以上、金利や為替レートは米ドルと連動して動きます。

 

香港ドルが米ドルにペッグしているということは、預金金利もまた米ドルに追随するということです。

FRB(米連邦準備制度理事会)が金利を引下げれば香港ドル金利も下がり、インフレ懸念で金利引上げが実施されれば香港ドル金利も上がります。

 

ただ、もしアメリカが景気がよく金利上昇する場面で香港経済が低調なら、景気の悪い香港でインフレが進むことになります。

また、その逆なら、さほど景気が悪く無い中、アメリカの金利が下がったために香港ドルの貸出金利が下がり、バブルを生み出してしまうリスクとそれが弾けた時の大きなダメージリスクも孕んでいるといえます。

 

香港とアメリカの景気サイクルは今までは比較的に通っていましたが、今後 中国との連携が深くなっていくと、ドルペッグのリスク面が大きくなってくるかもしれません。

 

中国元と香港ドルの関係

香港って、為替レートで米ドルとペッグしていると言っても、中国の一部です。

 

香港ドル紙幣に「港元」という文字がありますが、これは中国語で香港ドルを表記したものです。

実際、香港のお店でも、「10元」などと表記しているところもありますが、これは「10香港ドル」の意味です。

 

関連

中国語で米ドルを「美金」と表記しますが、「美しいお金」ってなんかいいですね(笑)

 

香港ドルは1ドル=7.8香港ドルで米ドルとペッグし、人民元は1米ドル=8.6元の固定相場が維持されています。

したがって、香港ドルと人民元は、「1香港ドル=1.1元」で事実上、一体化しているということになります。

 

人民元は、貿易取引などに限って交換することが認められている制限付きの通貨なので、資本取引(貿易など実需以外の通貨の交換)が大半を占める為替市場では流通していません。(為替市場ではオフショア人民元:CNH が流通していますが中国本土で使える訳ではありません)

 

でも為替市場で自由に交換できない通貨では、海外の投資家の資金を呼び込むことは不可能です。

そのため中国は、その役割を香港ドルに負わせています。

 

中国は香港ドルを通じて外貨を獲得、その資金を人民元に交換し、設備投資などに充当しました。

これが90年代から2008年くらいまで中国経済の高成長を支えた一因で、人民元は香港ドルという「窓」を通じて外の世界につながっていたのです。

 

これが香港を「オフショア金融センター」として大きく発展し、地位を確立させてきた理由でもあります。

 

香港ドルの今後

香港ドルは米ドルとペッグし、人民元とも一体化した通貨と言えます。

人民元が変動相場制に移行すれば香港にも大きな影響を与えることになります。

 

中国もWTO(世界貿易機関)に加盟した以上、いつまでも固定相場制を維持することはできないので、変動相場制への移行時期とその際の為替水準が注目を集めています。

 

香港は物価も人件費も安い中国市場に隣接し、そのデフレ圧力を強く受けていると言えます。

 

香港と広東省は同じ文化圏で、企業の多くは人件費の安い中国本土に工場を移転させ、近年は交通も発達したこともあり、人々は気軽に「国境」を越えて物価の安い広東や深センに買い物に出掛けます。

 

食料品、雑貨、衣類から家電・工業製品に至るまで、安い中国製品が大量に流れ込んできます。

 

香港ドルが人民元に対して割高なままでは、香港は市場の競争原理の中で生き残ることは難しくなっていきます。

 

人民元が切り上げられ、香港ドルと米ドルのペッグが維持されれば、中国からのデフレ圧力は軽減し、香港経済は大きな恩恵を被ることになると思われますがその一方、香港ドルが人民元と同時に切り上げられるなら、輸出競争力を失うだけで中国からのデフレ圧力は変わらず、香港経済は壊滅的な打撃を被る怖れがあると言われます。

 

中国経済の高度成長と国際化にともない、上海が金融市場としての存在感を増しています。

未来を予測することは不可能ですが、香港ドルはその歴史的使命を終え、人民元に吸収されていくと予測する人も多くいます。

 

また、人民元が変動相場制に移行し市場に流通するようになれば、中国は香港を使わずとも資金調達するようになるでしょう。

その時、ひとつの国家にふたつの貨幣制度を併存させることの意味はなくなりそうですね。

 

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