2019年6月から始まった香港におけるデモ活動。
12月に入ってもやや形は変わったとはいえ、デモに多数の方が参加するなどその活動はおさまる気配がありません。
香港オフショア投資はやめた方がいい
わたしのところにも「香港の保険を検討していましたが、やめときます」といった声や、「契約してるんですけど、解約して資金を少しでも引き揚げた方がいいでしょうか・・・?」といったお問い合わせをいただいています。
わたしの姿勢や考えは一貫していますが、TVなどの報道を観ていれば、警察が催涙弾だけでなく実弾を撃ち、デモ隊が火炎瓶を投げたり店舗や道路を破壊したり、交通を妨害したり大学に立てこもったりする激しい映像が流れ、「もはや戦争状態」といったコメントが出るなどしますので、心配になるのもわかります。
でも、私たちが契約する保険や投資商品は、政府主導のものではありません。
投資金は株式や債権を通じて運用される以上、完全に「政治と投資は別」とは言い難いですが、それでも政府が運用している年金のような物ではなく私たちが買うのは企業の保険やその他の投資商品です。
その企業はワールドワイドな展開をしている。
「香港のオフショアとしての制度や機能をメリットにしてそこに支店を置いている」のであって、中国や香港の国営企業ではないわけです。
そして、その企業を通じて買う商品も中国を投資対象としているのではなく、香港を窓口として世界に投資するわけです。
また、運用は「米ドル」であって香港ドルや中国元ではありません。
なので、香港のデモ活動が激しいから投資をしないというのは、感情的な点ではわかりますがよく考えると整合性がないと思うのです。
法律不遡及(ほうりつふそきゅう)の原則
今までも、
「香港の保険に日本人は加入できなくなる」といった噂はたびたびありました。
実際わたしも、2018年4月に香港に渡航してFTライフのリージェントプレミア2という商品を契約しています。
それは、「今後、日本人の契約を受付なくなる」と聞いたからです。
でも実際は、契約できなくなるどころか「信託契約」という形を使って香港に渡航しなくても日本から郵送で契約できるようになりました。
結果的には、慌てて香港に渡航する必要はなかったんですね。
過去には本当に、それまで契約できていたものがある日を境に契約できなくなったということは、ありました。
でも、その商品を前から契約していた人は、その契約は履行されています。
つまり、法律や制度が変わっても過去 有効だった契約はそのまま履行されるということです。
これを法律不遡及の原則といいます。
それでも心配なのは、相手が中国だからですよね?
わかります(笑)
何を言い出すかわからない怖さは、確かにあります。
でも、これも感情的な部分が大きく、論理的とは言えません。
なぜなら中国も国際社会の一員です。
ワールドワイドな私企業が法律に準拠して行っていた経済活動に対し、そしてその顧客に損失を与えるようなことはできないのではないでしょうか。
一国二制度の終了
香港はご存知の通り、1997年に中国へ返還されました。
そして、以降50年間は中国でありながらイギリスが築いてきた体制を引き継ぐ「一国二制度」」を約束しました。
これが、50年経過しないうちに反故にされようとしているので市民がデモで訴えているという側面もあります。
でも、逆に言えば初めから「50年経てば一国二制度はなくなる」ことはわかっています。
長期の契約を前提とするのが保険や積立商品です。
一国二制度がなくなれば契約を履行できないような商品を、世界的な企業が香港で販売するでしょうか。
この点から、一国二制度の危機を背景に、「だから香港の保険商品は危険」というのは違うと思いますがあなたはどう思いますか?
<まとめ>デモが活発だから香港の金融商品が危険というのはお門違い
- デモ活動が収まらない
- 警察とデモ隊との衝突が激しい
- 中国政府はどう動く?
- 一国二制度が反故にされる?
こうした心配から魅力的な香港の保険などの投資商品を資産形成の手段の選択肢から外してしまうのは、機会損失だとわたしは思います。
ちょっと話が飛躍しますが、第二次世界大戦中もその関係国の株式市場はずっと動いていました。
沖縄や東京がひどく攻撃されている時も、株式市場は動いていたのです。
その中できちんと需給を判断し対処した人が、投資リターンを受け取ってきました。
もちろん、完全に「政治と投資は別物」と言い切ることはできません。
実際、トランプ大統領のツイッターで大きく株価が動いたりします。
でも、短期の投資、投機ではなく保険や積み立ては10年、15年、20年・・・、場合によっては子、孫世代のことを考えて長期の視点でおこなう物です。
デモとそれに伴う中国政府の対応と香港の保険や金融商品の魅力は別物と考えてよいでしょう。
将来の資産形成の必要性があるのに香港を活用しないというのは、ちょっともったいない気がします。
この記事が、迷っているあなたが一歩を踏み出す機会になればいいなと思います。